下北沢フルリノベーション事例(1) – バンクーバーの記憶を映したデザイン計画
東京都世田谷区・下北沢。
今回ご紹介するのは、若いご夫婦による中古マンションのリノベーション事例です。
設計を手掛けたのは、マンションリノベーションを専門に行う「MADARA」を主宰する一級建築士・高瀬友基さん。
このお住まいは、完成後にお客様の暮らしを通じて、
「創った空間が人を変える」
という確信を得るきっかけになった、高瀬さんの原点ともいえるプロジェクトでした。

「この設計者を紹介してください」から始まったご縁
ご夫婦との出会いは少しユニークでした。
当時、ご夫妻は、カナダのバンクーバーから帰国して東京で住まいを探すうちに、高瀬さんが手がけたリノベーション済みのマンションを不動産会社から勧められ、内見していました。
結局その物件は購入しなかったものの、
「この空間を設計した人にお願いしたい」
と考え、不動産会社に設計者を尋ねたそうです。
それが高瀬さんとの出会いでした。

東京でのお住まい探しからデザインリノべ
将来の子ども部屋を見据えて、1LDKから2LDKへ間取り変更
近年のマンションリノベーションでは、
「部屋数を減らしてLDKを広くしたい」
という要望が主流です。
しかし今回のご夫妻は逆でした。
将来、家族が増える可能性を考え、
「子ども部屋になる個室を確保したい」
という希望をお持ちでした。
もともとは広めの1LDK。
そこでユニットバス以外の設備・照明・建具を一新しながら、間取りも見直すことになりました。
高瀬氏は言います。
「今はギターを楽しむ趣味室として使い、将来は子ども部屋として使えるようにしています。」
現在と未来の両方を見据えた計画です。

個室を増やしても狭く感じさせない工夫
ただし、単純に壁で仕切るだけだと、リビングが窮屈になります。
そこで採用したのが、大きな室内窓でした。
増設した個室とリビングをゆるやかにつなぎ、光と視線が抜ける設計としています。
壁で完全に閉じるよりも、
・採光が確保できる
・空間に奥行きが生まれる
・開放感が損なわれない
というメリットがあります。
さらにブラインドを設置し、必要な時にはプライバシーも確保できるようにしました。
「壁にしてしまうと暗くなりますし、狭く感じます。室内窓にすることで明るさと広がりを保っています。」
限られた空間をスタイリッシュに間仕切りする工夫です。


株式会社MADARA 代表取締役/一級建築士
高瀬 友基(たかせ ゆうき)
1982年生まれ、神奈川県横浜市 出身。
東京理科大学工学部建築学科卒。
建築家の建築設計事務所を渡り歩き、リノベーションに出会う。
住宅・事務所・店舗・宿泊施設・収益不動産など設計施工500件以上に携わる。
目的とターゲットを起点に、土地・建物・人の文脈を読み解き、見立てによってストーリーとデザインを統合する独自の設計アプローチを実践。空間が変わることで人の意識が変わり、人と空間が与え合う正の循環が生まれることを、数百件の設計を通じて確信している。
日本空間デザイン賞2019 入選(2作品)
「東海道BEER川崎宿工場」「MADARA OFFICE」
東京新聞・Yahooニュースほか
雑誌・新聞メディアに多数掲載